三宅香帆著
思っていた以上に「○○は××である」ではなく、「○○していきましょう/するべき」方の本であった。
とはいえ、読んでいくとこの本自体が自己啓発本の歴史研究のまとめといった側面もあり、自己変革を常に要求する自己啓発本のフォーマットを借りながら、結論は「こういう社会に変えていきましょう」というストレートな社会運動啓発にひっくり返すというフォーマットを取っている。それゆえにフェミニズムの本でもある(「半身社会」という言葉は上野千鶴子の発言から引かれている)。
一方で悩ましいのは、答えを著者がストレートに出してくれるという点ではストレートな自己啓発本と同じという点でもある(これ言い出すとすべてのアクティビズムな本がそうではあるんだが)。
あと、これ「疲れ」についての本でもあるよな(Diminished Faculties - Jonathan Sterneを思い出した)。
単なる肉体的な労働に基づく肉体的な疲れ以外の「何かが/に疲れている」がすなわち燃え尽き症候群ということになるのだろうし、燃え尽き症候群を社会モデル的な障害として捉えてみましょう、というのがこの本の内容と言えるのかもしれない。
というときに、この本で語られる燃え尽き症候群の先にあるのがうつ病である、というお話がそこで止まってしまっているのはちょっとナイーブすぎるようにも思えた。精神病や発達障害はどこまで社会モデルでとらえられるのだろうか?というお話に繋がってくる部分だと思うので。