山上揚平 - ゲームオーディオ研究文献データベースの構築と分析
ゲームオーディオ研究が活発になったのは2000年代以後
研究キーワードの共起ネットワークとワードクラウドを作成、年代ごとの変化を分析
- dynamic musicって結構使われるんだなあ
- 2008~2012 guitar heroとか入るんだ
日本では包括的なゲーム音楽の論集がない
データベース作成:佐竹那月(芸大)
吉田寛 - ゲーム音楽研究の現状
ドイツ音楽の研究だったが、博論を書いたあとからゲーム研究に
Journal of Sound and Music in Games USC発行(2020~)
USCだけどアメリカ中心ではなく、ヨーロッパやアジアが多い
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ダイエジェティックの概念
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IEZAフレームワークフレームワーク
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Karen Collins ダイエジェティック概念を捨てて、Interactive-Adaptiveに
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2011 グリムショーのGame Sound論集
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イェルゲンセンもダイエジェティックを止めてgamespace/gameworldという概念を提唱したが、誰も使ってない
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ダイエジェティックの源流としてはナラトロジー(物語論)
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そこから、映画の音分析
- Claudia Gorbman Narrative Film Music
- ミシェル・シオン
日本では実質3冊しかない
Karen Collinsによれば
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Interactive audio プレイヤーの直接的入力に反応する
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adaptive audio ゲームの「状態」に反応する
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以上2つを包括するものとしてdynamic audioと言ったりもする
田中hally治久 - 『ゲーム音楽はどこから来たのか』はどこから来たのか
もともとゲーム音楽が専門のフリーライター、在野の研究者
- ゲーム音楽を専門に扱うメディアはかなり希少
- そもそも、「ゲーム音楽ライター」というのが職業として成立しているわけではない(世界中見てもそういう感じ、日本がむしろ多いのでは)
- ゲームのライターと音楽のライターを行き来している感じ
いろいろ需要はある、のになぜゲーム音楽ライターは増えない(研究者は増えているのに)
- インタラクティブ、複数的な体験であるからこそプロフェッショナルであるところの分析が難しい
- 客観性と個人的体験の相容れなさ
ゲームサウンドは音楽体験を他人事でなくしてしまう:音楽体験の身体化といっても良い
では、いつからそうなったのか?- それを解き明かすのが「ゲーム音楽はどこから来たのか」
- ビデオゲーム以前のゲームの音
- アナログゲームやスポーツには音がないのに、なぜビデオゲームになったら音が必要になったのか
- エレメカ・サウンドとヴィデオゲーム・サウンド
- エレメカ:ピンボールやスロットのような電子機械遊戯
- ビデオゲームにBGMが付随するまで
- 映画になりたがるゲーム音楽
- 音盤化するゲーム音楽
- レコードとしてゲーム音楽が切り出されて売り出されるように
- ゲーム音楽語りの構造
- メカニクス・シグナル・ワールド
- 身体性と意味に分けて議論する
質疑応答
ダイエジェティックについてもうちょっと解説してほしい。
アーケードゲームにコインを入れた時の音はプレイヤーとしての自分にとっては物語の一つに感じる
→Hallyさん:これだけで論文が1本書けそうなくらい難しいテーマ。?コインを入れる前は明らかにゲームに参加してないわけだが、コインを入れた瞬間から物語は始まっているのだろうか?
鈴木和馬 - ゲーム音楽と没入の心理学
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没入とは何を指すか
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何を測るのか、どう測るのか
- 主観的な手法:いわゆるアンケート
- 客観的な手法
- 認知・記憶能力を図る行動的:behavioral
- 心理生理学的:アイトラッキングや脳波測定
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今回はbehavioralなものに限って
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タスク切り替え課題:ゲームプレイから別の課題に切り替えて、課題の成績が悪い:ゲームへの没入感が高い
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阻害刺激:ゲームプレイの邪魔になるような刺激を与えて、どのくらい課題達成に影響するか
ゲーム開発の中でこのへんの心理測定はどの程度行われているのだろうかね
統計分析をしたいけど、プレイの個別性をどう扱うのかという問題、一般化の難しさ
尾鼻崇 ゲームオーディオのアーカイブ構築に向けて
一般社団法人ゲーム展示協会 / 国立美術館リサーチャー
- ゲームアーカイブの歴史と現状
- だんだんと、ゲームのアーカイブの対象がマシンだけでなく、体験や社会的背景など広い体験になってきた
- 立命館のアーカイブの史料の半分は、家庭用ゲームタイトル、半分は関連資料
- ゲーム音響アーカイブの必要性
- インタラクションがある、体験の複数性
- 現在はコードやデジタルデータの抽出に依存している(ROMからデータをぶっこ抜くのも含めて)
- 実際のゲームプレイの音響体験を記録する方法に欠ける
- 難しさの3要素
- 同一ゲームタイトルの「異版」の問題(音源チップの相違などで違う音になることも)
- シリーズやメディアミックス、作品間の関連の多さ
- 一つの作品に対する製作者・貢献者の多さ
- プレイヤーをどう位置づける?:リスナーなのか、プレイヤーなのか
- とりあえずできること7種類 -再現可能性と実現コストの2軸
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- サウンドトラック・市販の楽譜の保存
- 国会図書館の納本制度に基づいて実施(今は映画とゲームが同じカテゴリになっている)
- サウンドトラックも楽譜も、それだけでは不十分
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- パッケージの保存
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- エミュレーター
- 法的な制約がある
- どのみち完全な再現が難しい
- 特殊なハードウェアを要するコンテンツの保存:メディアアートとの保存とも関わるので、連携が必要
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- (メモし忘れた)
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- オーラルヒストリー
- 制作者やプレイヤーの体験を文字や体験で保存
- ゲーム保存協会とかがたくさんやっている
- Ludo-Musica
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- 開発関連資料
- 社外に公開できる資料は少ない
- そもそも昔のツールが動くとも限らない
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- 動的サウンドトラックの作成
- 権利やコスト・網羅性など課題は多い
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- 前提:ゲームはプレイするものである(動態保存)
- ゲーム音響アーカイブの課題はゲームアーカイブの課題の縮図
岩本翔 音楽を身体化するテクノロジーとしてのインタラクティブミュージック
- 今回は仕事ではなく個人的なゲームと音楽の融合についての紹介
- 音楽マインスイーパ
- 出来上がった音楽そのものではなく、プレイによって音楽が出来上がっていく過程に価値を感じるという気づき
- 作曲家が音楽を完成させるのではなく、不完全な音楽を設計し、プレイヤーに完成させてもらう
- Space to go
- 作曲はもう終わっているが、再生タイミングだけをプレイヤーに明け渡す
- 実際は作曲しているわけじゃないんだがそう感じる
- 「ゲーム音楽研究とアーカイブがよりめんどくさくなる音楽作り」
- 山上さんの『デジタルゲーム独自の音楽的行為の解明に向けて』
- Michael Austinによる2軸の整理:Conceptual とProcedural
- 山上:ゲームメカニクスの音楽性とゲームワールドの音楽性に分ければ
- メカニクスの音楽性には2つの要素がある
- プレイヤーの音楽的能力の反映
- 音響的産物にプレイヤーが関与できる割合
- メカニクスの音楽性には2つの要素がある
- 岩本としては、山上のメカニクスの音楽性の2つはトレードオフにあるので、さらに2軸に分けた方が良いのでは(コンセプチュアルは一旦置いておく)
- 音楽的自由度と音楽的自覚度
- プレイヤーが主体的:自覚的に音楽を操作できる
- 音楽マインスイーパーは、プレイヤーが音楽に関与できるが、作られる音楽を操作するために旗を立てる場所を変えることはない
- 自覚度が最も高いのが、いわゆる音ゲー
- 自覚・かつ自由度が高い右上の位置が演奏・作曲にあたるのではないか(音楽の身体化)
- (感想)トレードオフであるなら結局1軸なのでは?だんだん右上に近づけていく、というのがゲーム音楽研究の「めんどくささ」を増していく、ということなのかな
- (のちのセッションにおいて)
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自由度とはつまり、生み出せる音楽の多様さ(言葉がイマイチかも)
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- 音楽的自由度と音楽的自覚度